ポルシェ カイエンS Hybrid(958型)でメーターに「コショウ ハイブリッド システム」の警告メッセージが出たとのことで修理の依頼を頂きました。
診断機で、この故障メッセージを表示させている故障内容(故障コード)を確認します。その結果、ブレーキブースター系統の故障(P055600)を検出していました。
ブレーキブースター系統の故障と言えば、最も多いのはバキューム配管の亀裂による負圧漏れですので、まずは負圧保持に問題ないかを調べます。この段階でバキューム配管が原因と判断してしまう人もいますが、故障探求を進めます。
現代の車は、診断機で各センサーの値をモニタしたり、アクティブテストを行うことができます。今回はバキュームラインの圧力センサーとブレーキ踏力等の値をモニタし、負圧の保持およびブレーキ関係の信号が正常かを確認します。
結果、負圧は問題なく保持されており、またブレーキ操作に関する信号も正常でした。従って別の原因を探します。
ここで、カイエンハイブリッドのブレーキアシストシステムについて説明します。この車のブレーキアシストは、多くのガソリン車で採用されるインテークマニホールド負圧を利用するのではなく、カムシャフトの回転力でバキュームポンプを回して負圧を作って、その負圧でブレーキ踏力をアシストしています。しかしこの機械式バキュームポンプはエンジンが動いている時にしか動作しないため、EVモードの時には負圧が得られません。そのためカイエンハイブリッドでは、機械式バキュームポンプに加えて電動バキュームポンプを装備しています。
機械式バキュームポンプが正常に動作していることは上記で確認したのですが、電動バキュームポンプが動作していないことが分かりました。電気系統を点検して行くと、バキュームポンプは故障していないけれど、車体から電力供給がされていません。電気系統を点検すると、電動バキュームポンプに関係するヒューズが切れていることが分かりました。
このヒューズはベンツやボルシェに使われることが多いMAXIヒューズと言う大型のヒューズです。なかなか一般には売っていないヒューズなので純正品を注文するのですが、実はベンツ用のものと全く同じです。入手性でも価格でもベンツ用の方が優れているので、ベンツから部品を入手しました。
電動バキュームポンプが無事に動作するようになり、故障メッセージも出ないようになりました。ヒューズが切れるからにはポンプが故障している等の原因がある場合が多いですが、今回はヒューズ交換だけで解決しました。
当店ではポルシェの整備実績が多数ございます(911、ボクスター、ケイマン、カイエン、マカン、パナメーラ、928等)。多くのポルシェオーナー様からご好評を頂いていますので、安心してお任せ下さい。
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