ポルシェ パナメーラS(970型)でエンジンチェックランプが点灯したとのことで修理を行いました。エンジンはやや振動が感じられますが、とりあえず走行はできる状態です。またメーターに「チェックエンジン」「ギヤボックス キンキュウサドウ」「スタート/ストップ キノウ シヨウデキマセン」「コショウ PSM」と多数の警告メッセージが出ています。




早速診断機で検出されている故障を確認します。診断機は2番シリンダーの失火を検出しています。また、トランスミッションの故障も検出しています。

エンジンの振動具合からしても失火している様子です。イグニッションコイルテスターで調べたところ、やはり2番シリンダーのイグニッションコイルの調子が悪いことが確認できました。
イグニッションコイルに問題があり失火していることは分かったのですが、ミッションにもエラーが出ていますので一見するとミッションも同時に故障してしまっているように見えます。しかしこれは実はこの年代のポルシェでは良く起きる事象で、エンジンの故障に引っ張られてミッションがエラーを検出してセーフモードに入っている状態です。従ってエンジンの問題を解決すれば自動的にミッションのエラーも消えるパターンです。
それでは2番シリンダーのイグニッションコイルと、ついでですのでスパークプラグも交換します。イグニッションコイルは社外品を選択しました。社外品は純正品よりも大幅に費用を抑えることが可能です。

イグニッションコイルおよびスパークプラグを交換することでエンジンの振動およびエンジンとミッションの警告は出なくなりました。失火カウント計測でも失火は検出しなくなり修理が完了しました。
続いて、天井の天張りが垂れてしまっていたため、こちらも修理させて頂きました。輸入車では10年程度経過したら多くの車で天井たれ(天井落ち)が発生しますので、経験された方も多いかと思います。これは日本の環境、特に湿度の影響で布が取り付いているウレタン部分の加水分解が進み、布が落ちてしまうことで発生します。このためヨーロッパでは発生しないそうです(※)。

※:この天井垂れは、日本の環境で進化してきた日本車ではほぼ発生しません。日本の乾燥から高湿、低温から高温、低標高から高標高、ストップアンドゴーの多い交通状況は車にとって厳しい環境です。これは天井に限らず日本車が世界中で信頼性が高いと評価されていることに関係しているのでしょう。また、逆に高速での安定感や長距離移動での疲れの少なさ等はヨーロッパ車の方が得意です。生物だけでなく工業製品も環境に適合する者が生き残ることを示していると思うと面白いですね。
修理の話に戻ります。天井のライナーを車両から取り出し、布を剥がし、劣化したウレタンを除去して再度布を貼り付けます。当然湿度で劣化する材料は使いませんので、修理後は国産車同様、天井垂れは再発しません。天井垂れでお困りの方は是非ご相談下さい。
この度はご依頼誠にありがとうございました。当店ではポルシェの整備実績が多数ございます(911、ボクスター、ケイマン、カイエン、マカン、パナメーラ、928等)。多くのポルシェオーナー様からご好評を頂いていますので、安心してお任せ下さい。
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