ホンダ バモスでオーバーヒート症状があるのと、エンジンの調子も悪いとのことで修理の依頼を頂きました。エンジンを掛けると1気筒死んでいる様子です。オーバーヒートでエンジン本体まで故障している恐れもありますが、まずは1気筒失火の原因を探ります。バランステストとイグニッションテスターより、イグニッションコイルが1本不調であることが分かりました。このためイグニッションコイルとスパークプラグを全数交換することとしました。

コイルとプラグを交換すると、エンジンの不調は収まりました。この状態でロードテストを行ったところ、運転席の足元付近からチョロチョロと水が流れる音が聞こえます。これはバモスではよくある症状で、オーバーヒトしたことが原因でヘッドガスケットが抜けてしまって冷却水系統に排ガスが混ざっている状態です。従って、ヘッドガスケットの交換が必要です。なお、ヘッドガスケットが抜けの原因となったオーバーヒートの原因は、ラジエターキャップの故障で、まずはこれを交換しました(ちなみに、バモスはラジエターキャップから圧が逃げる場合、サーモスタットが開かないようになっていますのでLLC交換時等にも注意が必要です)。
長くなりましたがヘッドガスケット交換の作業に入ります。バモスは幸いエンジンを完全に下ろさなくてもヘッドを外すことができます。まずはヘッドカバーを外します。

続いて、ヘッド周辺のインマニ等を取り外した後、ヘッドを下ろします。

ヘッドを下ろしたら、シリンダーブロックおよびヘッドがオーバーヒートにより歪んでいないかを確認します。ストレートエッジを使用して歪み計測をしましたが、無事に基準値に入っており、ブロックやヘッドの交換は不要でした。

今回せっかくヘッドを下ろしましたのでお客様と相談し、タイミングベルト、テンショナー、ウォーターポンプ、サーモスタット等も一気に交換することとなりました。


その他、元々の目的であったヘッドガスケットを始め、インマニガスケット、ヘッドカバーガスケット、プラグホールガスケット、ヘッドボルト、ドライブベルト等、多くの部品を新品に交換しました。

車両復元後ロードテストを実施し、水のチョロチョロ音は鳴らず、冷却系統も問題なく機能していることが確認できました。また、エンジンも静かになり調子も非常に良くなりました。
バモスのヘッドガスケット抜けはよくある症状です。運転席の足元でチョロチョロと水の流れる音が聞こえたら、ヘッドガスケットの抜が疑われます。そのままにしておくとオーバーヒートが発生して、場合によってはエンジンが大きなダメージを受ける可能性があるので、早めの対処をお勧めします。この度はご依頼誠にありがとうございました。
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