マツダ RX-7(FD3S) アイドリングが高い、燃料計が不正確、ボンネットが開かない修理、および12か月点検

 過去に当店で販売させて頂いたマツダ RX-7(FD3S)のⅢ型で、アイドリングが3000rpmくらいに上がってしまっている、燃料計が正しい表示をしていない、ボンネットが開かないとのことでご入庫頂きました。また、12か月点検のタイミングでしたので合わせて実施させて頂きました。

 まずはアイドリング回転数が高すぎる件について原因を探りました。典型的な故障個所であるISCVや、見える箇所のインテークホース等の点検から始め、さらに点検を進めて行きインテークマニホールドのガスケットからエアを吸っていると判断しました。この型までのRX-7はインマニガスケットが紙で、これが劣化して抜けてエアを吸うと言うことが、距離と年数が経つと必ず起きます(いわゆるインマニガスケット抜け)。

 インマニガスケットを交換しますが、RX-7のインマニガスケット交換はかなり大掛かりな作業となります。エアクリーナー、インテークパイプ、サージタンクだけでなく、フロントパイプ、ターボチャージャー、エキゾーストマニホールド、二次エアシステムなどまで取り外す必要があります。ターボチャージャーまで取り外すので、オイルや冷却水まで出てきてしまいます。

 インマニガスケットに到達するために様々な部品を外していく中で、ボンネットを開けただけでは見えない部品やホースがたくさん出てくるのですが、これらのいくつかが劣化して破損していましたので、これらも修理して行きます。ホースについては、部品代は安いのでまだ漏れが起きていないものでも今後のことを考えて交換します。もちろんガスケット類も新品に交換します。また、ソレノイドバルブも破損していましたが、こちらは幸いまだ廃盤となっておらず新品の入手が可能でした。

 ターボチャージャー、エキゾーストマニホールドまで外して、ようやくインマニを外すことができます。インマニガスケット交換は車種によっては10分もかからないようなものもある中で、RX-7はとんでもなく大変です。インマニを外したら、次の写真のとおりロータリーエンジンのローターハウジングが見えます。ここまでやって初めてロータリーエンジンを拝むことができます。思わずエンジンに向かって手を合わせたくなります。

 やっと目的のインマニガスケット交換です。数千円のインマニガスケットを交換するために、これだけの作業が必要となります。インマニガスケットは後期型からメタル製に変更されていますので、今後同じことが起きないよう後期用のものを使用します。

 インマニガスケットを交換して、大量の外したパーツを元に戻して行きます。ガスケットを交換したことに加え、損傷していた部品やホースも交換したため、アイドリングが正常になっただけでなくエンジンの調子も非常に良くなりました。作業前は排気ガスのCO、HC濃度もかなり高かったのですが、規制値を大きく下回る水準に回復しました。作業前はピット内でエンジンをかけていると排ガスが目に染みて涙が出るほどだったのですが、これでもう目に染みることがなくなり、別の意味で涙が出てきます。

 続いて燃料計が不正確とのことで、燃料ポンプと一体になっているセンダーユニットを点検します。結果、センダーユニットのフロートの付け根が錆で固着しており、このせいで誤った燃料残量が表示されていることが分かりました。新品はもう入手できませんので、今回は中古品を入手して交換しました。これにより無事に正しい燃料残量が表示されるようになりました。

 順番が前後しますが、こちらの車両はボンネットが開かなくなっており、インマニガスケット交換の前にそちらも修理しました。運転席のボンネットオープンレバーの手応えが全くなく、ワイヤーが切れているか外れている様子でした。幸運にも手の届く場所からワイヤーを引っ張ることでボンネットが開いたのでワイヤーを確認したところ、プラスチック部分が割れてしまってレバーを引いてもワイヤーがきちんと引っ張られない状態でした。

 ここが割れた原因として、ワイヤー自体の劣化もありますが、引っ張られる側であるボンネットラッチも動きが渋く固くなっており、これを動かすためワイヤーを強く引っ張る必要があり、結果ワイヤーが破損していました。このため、ボンネットラッチも新品に交換しました。

 車種に限らず、もしもボンネットを開こうとした時にレバーを強い力で引かないと開かなくなっている場合には、ワイヤーが切れてしまう前に修理することを強くお勧めします。車種および破損の仕方によっては、ボンネットを開くために大変大掛かりな作業が必要となる場合があります。

 その他、オイル交換、12か月点検等を実施し、お客様にご納車いたしました。ご利用誠にありがとうございました。

 90年代の車はもう30年も経過しています。このような不具合は必ず出ますので維持していくのは覚悟が必要ですが、それを差し引いてもとても素晴らしい車がたくさんあります。故障したものの部品が生産中止になっていると言うことも頻繁に発生しますが、当店では一台一台にしっかりと向き合い、可能な限りのサポートをさせて頂きますので是非ご相談下さい。

株式会社東京オートラボ
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